ラジエーター

ラジエータークーラントの交換方法

交換時期を見極める目安とサイン

クーラントは凍結防止剤と防錆添加剤を含むため、時間が経つほど凍結温度が上がり、金属内部に腐食を招きます。一般的な純正液であれば走行距離2万kmまたは2年ごと、高性能ロングライフタイプであっても4年ごとが推奨周期です。ただし真夏の渋滞やサーキット走行を頻繁に行う車両、オフロードで泥詰まりしやすいラジエーターを装備する車両では劣化が早まります。
点検ではキャップを開けて液面がアッパーレベルを下回っていないか、色が褪せて茶濁していないかを確認してください。キャップガスケットが硬化し、指で押して弾力が無ければ同時交換を推奨します。

リザーバータンクのホースが白く粉を吹いていたり、合わせ面に緑青が見える場合は樹脂のひび割れ前兆なので要注意です。夜間にヘッドライトでリザーバーを透かし、液体の透明度が落ちていると感じたら早めの換装がエンジン寿命を延ばします。換装前に車種別冷却水容量をサービスマニュアルで確認し、ラジエーターネックの直径に合ったじょうごや耐熱ホースを準備すると作業がスムーズになります。

失敗しない排出と注入のステップ

作業はエンジンが冷えている朝一番が理想です。まずリザーバーのホースクランプを外し、古い液を抜けるだけ抜いておきます。
次に車体を真っ直ぐ立て、ラジエーター下部のドレンボルトを緩めます。ボルトには銅ワッシャーが入っていることが多く、再使用すると滲みの原因になるため新品を用意しておきましょう。
古い液が抜けたらラジエーターネックから少量の水を注ぎ、一度エンジンを短時間始動し内部を軽く撹拌して洗い流す「フラッシング」を行うと残留濁りを減らせます。
再びドレンを開けて完全に排出したら、外したボルトを規定トルクで締付けます。
注入時は50:50の希釈済み液を使用し、ジョウゴの先端がネック奥まで届くように差し込んで気泡を巻き込みにくい流速で注ぎます。
注入中にラジエーター左右を軽く揺すり、エンジン後端のウォータージャケットへ液を誘導すると空洞を作らず満たせます。規定量の8割ほど注いだ段階で一度キャップを仮締めし、スターターを2秒ほど回してポンプを作動させ、液が循環したところで不足分を補うと急激な液位低下を防げます。
最後にラジエーターホースのバンド位置を180度回転させ再固定するとホースの押し痕が分散し、次回も確実に密着させられます。

エア抜き完全攻略で冷却性能を引き出す

最後まで気を抜けないのがエア抜き工程です。ラジエーターキャップを外したままアイドリングを始め、冷却ファンが1回作動するまで待ちます。その間にラジエーターホースを手で握り、気泡が上がる感触を確かめてください。泡が途絶えたらスロットルを数回軽く煽り、回転落ち際にさらに小さな気泡を押し出します。

リザーバー側で液面が増減を繰り返すのはエアが混入している証拠なので、安定するまで根気よく繰り返すことが重要です。キャップを閉める際はパッキンに液を一滴塗って潤滑させ、閉め始めてから最後の「カチッ」とした手応えを確認するまで確実に締め込んでください。試走後はエンジン停止直後ではなく完全冷却後に液面を再点検し、アッパーレベルより10mm低い位置に合わせると熱膨張分を吸収できます。

もし走行直後に甘い匂いが漂ったり、ラジエーターサイドタンクに白い乾燥跡が現れた場合は締付不足かパッキン損耗の可能性があるためすぐに再チェックしましょう。適切な交換とエア抜きを行えばオーバーヒート警告灯が点灯するリスクを大幅に減らせます。クーラントはエンジンを冷やすだけでなく、内部を錆や電蝕から守る大切な血液です。定期的なメンテナンスで真夏の峠道も安心して駆け抜けましょう。