砂利道で安定感を生むスタンディング姿勢
未舗装路では前輪が細かな凸凹に弾かれ、ライダーの入力が後追いで伝わりがちです。そこで車体と身体を切り離すスタンディングが基本姿勢となります。膝は軽く曲げ、ステップ中央に母趾球を置いてショックを下半身で吸収しましょう。
ハンドルは肘を外へ張ると上体が前輪にかぶさりすぎず、腕がサスペンションの動きを妨げません。タンクを膝で挟み過ぎると腰の回転が制限され、リア荷重へ移るタイミングが遅れるため、挟むのは深いギャップへ入る瞬間だけに留めるとリズムが保てます。視線は路面から15mほど先の「まだ荒れていない場所」を探すように置くと、肩と腰が自然に開きハンドル入力がソフトになります。
タイヤ空気圧はオンロード指定値の10〜15kPa低めが路面追従性を高めますが、ビード落ちを防ぐため低圧にし過ぎないことが肝心です。
トラクションを逃さないアクセルワーク
アクセル操作は「開ける」より「戻す」ほうが難しいと言われます。グラベルでは駆動力の抜き差しが直接スリップ量を決めるため、開度より戻し幅を意識しましょう。
まず2速ホールドで発進し、クラッチを半分つないだまま低回転域を保つと後輪が細かな凹凸に乗り上げても急激なホッピングを起こしません。フラットダートで速度を乗せたい場面では、スロットルをゆっくり3割開け、車体が加速し始めたら一拍遅れてさらに3割開け、トラクションが途切れる手前で一定に保つと、リアタイヤのブロックが路面を掴み続けます。コーナー立ち上がりでは外足ステップへ荷重を強め、内股をタンクに軽く触れる程度にして、車体が起き上がるタイミングでじわりとアクセルを足せば掘り返しを抑えながら加速できます。
四輪の轍が深いときは、わざとアクセルを一瞬抜いて前輪荷重を減らし、溝の壁を越えやすくしてから加速へ移るとハンドルを取られにくくなります。
滑りやすい路面で効く減速と制動の勘どころ
グラベルで最も怖いのはブレーキロックからの転倒です。減速はエンジンブレーキ主体とし、スロットルを完全に戻す前にリアブレーキを軽く当てて慣性を殺しておくと、前輪が接地感を保ったまま減速に入れます。フ
ロントブレーキは握り込みではなく、人差し指と中指でレバーを引き寄せる量を増やしていく「ストローク制御」を用いると、タイヤが滑り出す瞬間を手応えで感じ取りやすくなります。ABS装備車でも砂利の噛み込みでシステムが誤作動し、制動距離が伸びることがあるため、停止距離はオンロードの1.5〜2倍を想定して早めに操作を開始しましょう。
下り坂では前傾姿勢を避け、腰を後方へ引いてリア荷重を増やすと、後輪の荷重抜けが防げます。ターンイン直前にリアタイヤをわずかにロックさせ、車体をスライドさせて向きを変える「トレイルブレーキ」は高度なテクニックですが、ロック時間を瞬間的に留め最大でもホイール一回転以内で解除するのが安全な範囲です。
ブレーキ解除後はフロントフォークが伸び切る前に軽くアクセルを当てて荷重を再配分し、前後タイヤが均等に接地する状態を素早く作り直すと、車体が安定したまま次の加速へ繋げられます。未舗装路では常に路面状況が変化しますが、姿勢と操作の連動を意識していれば、滑り出しを恐れずにリズム良く走り続けられるでしょう。
